本記事をお読み頂き誠にありがとうございます。

アメリカンバーベルジャパン公式アンバサダーを務めさせて頂いている栗原弘教です。 

今回はスイスマルチグリップバーの特徴や効果的な使用方法について説明して行きたいと思います。 

既にご購入をされているトレーニー、コーチ、トレーナーの方は、目的に合わせて効果的な種目を取り入れて頂ければと思います。ご購入がまだの方は、購入後にどんな事に使用できるのかをご参考にして頂きご検討頂けますと幸いです。

<目次>
スイスマルチグリップバーの特徴
スイスマルチグリップバーでやった方が良いトレーニング
   ①ナローグリップベンチプレス
   ②クローズグリップベンチプレス
   ③ライイングトライセプスエクステンション(外側頭狙い)
   ④ライイングトライセプスエクステンション(長頭狙い)
まとめ

スイスマルチグリップバーの特徴

スイスマルチグリップバーは上の写真の様な特殊な形状をしたバーベルになります。

日本ではまだあまり普及していませんが、海外の多くのジムで導入をされているとても有能なマルチバーベルになります。 

まず、スイスマルチグリップバーの特徴としては見ての通りグリップが3種類あります。
外側とその内側に2本のナチュラルグリップと一番内側にクローズグリップが1本です。 

このグリップの形状により、通常のバーベルで各種エクササイズを行うよりも肩や肘、手首といった痛めやすい関節部分に掛る負担を軽減する事が可能になっています。 

加えて、このグリップで行う事で前腕の捻れがなくなるので、多くの場合関節の動きもスムーズになりやすく、対象筋に効かせる事が出来やすくなります。

ターゲットになるのは多くの場合、上半身の筋群(*)です。
*大胸筋、上腕三頭筋、上腕二頭筋、腕橈骨筋、三角筋、広背筋、菱形筋など 

上半身の種目を行っている時に、肩、肘、手首に痛みや違和感を感じている方や、対象筋の収縮や効いている感覚が低い方には特におすすめの器具になります。今までと同じ種目でも、このスイスマルチグリップバーを使用する事で全く効き方が異なるという方がとても多くいらっしゃいます。 

グリップが多様にあるので、同じ種目内でもグリップ幅を変える事でプラトーを脱したり更に追い込む事が可能になったりと、汎用性に加えて追求性が高い事もスイスマルチグリップバーの大きなメリットと言えるでしょう。

スイスマルチグリップバー(フットボールバー)

スイスマルチグリップバーでやった方が良いトレーニング

①ナローグリップベンチプレス(大胸筋、上腕三頭筋狙い)

ナローグリップベンチプレス1

写真の様にナチュラルグリップで握ります。

動作自体は通常のベンチプレスと大きく変える事はしませんが、グリップが変わる事で上腕三頭筋の関与が強くなるのと、大胸筋へのストレッチがより掛る様になる事で刺激の入り方が変わってきます。 

動作時のポイントは、通常のベンチプレスと変わりませんが

・前腕を常に地面と垂直に保つ
・グリップを強く握らずに、支える意識を保つ
・胸椎伸展をキープする

事です。

写真は外側のグリップを握っていますが、内側のグリップ、クローズグリップという順に上腕三頭筋や大胸筋への刺激がより強くなっていきます。 

通常のベンチプレス動作では、脇が開くと肩関節の前方や首などに痛みや違和感を感じやすくなったり、その肩関節の代償動作の結果として肘関節や手首に負担がかかり、痛みや違和感といった怪我に繋がる事が多いです。

スイスマルチグリップバーでは、通常のベンチプレスとはグリップ方向が異なるので、ボトムポジションで脇が開く動作が大きく減少します。

その事で、痛みや違和感を持っている方でもしっかりと重量をかけてトレーニング出来たり、怪我の予防にも繋がっていきます。

ナローグリップベンチプレス

②クローズグリップベンチプレス

クローズグリップベンチプレス

上のナローグリップベンチプレスで書いた通り、クローズグリップにする事でより大胸筋と上腕三頭筋への負荷を増す事が可能になります。 

動作のポイントは

・脇を開き過ぎない事
・前腕を地面に対して垂直を保つ事(*内側へは倒れます)
・やや内側へ押し込む様に挙上する事
・プレスのフィニッシュで肘を内側へ押し込む意識

です。

ハの字にグリップを握る事で、挙上時にバーをやや内側へ常に押し込みやすい形になります。ポイントにも書いた様に、バーをやや内側へ押し込みながら挙上し、肘を内側へ押し込みながらフィニッシュします。

この事で大胸筋の収縮を強める事が出来るのと、上腕三頭筋の特に外側頭に強い負荷を感じる事が出来る様になると思います。

ダンベルプレスなどでこの様にやや内側へ押し込みながら挙上する事で大胸筋の収縮を強めるテクニックがありますが、上級者でないとなかなか感じる事が難しいです。スイスマルチグリップバーであれば初心者、中級者の方でも比較的容易に同様の効果を感じられる点ではとても有効です。

また、バーベルはダンベルよりも安全に高重量を安定して扱えるという点を考えてもとても効果的です。 

通常のベンチプレス→ナローグリップベンチプレス→クローズグリップベンチプレスといった順番で追い込んでいくと、大胸筋と上腕三頭筋の強烈なパンプアップを感じる事が出来ると思いますので、ぜひお試し頂きたいです。

クローズグリップベンチプレス

③ライイングトライセプスエクステンション(上腕三頭筋*外側頭狙い)

ライイングトライセプスエクステンション

こちらは、上腕三頭筋(二の腕)の外側頭狙いの種目になります。

上腕三頭筋外側頭は、二の腕の外側の筋肉です。ボディメイクをしている方で腕を太くしたい男性やベンチプレスの使用重量を伸ばしたい方へおすすめの種目になります。 

外側頭は主に肘関節の伸展を担う筋肉で、トレーニングでそこを狙う時は肘をやや開いた状態で固定しながら、肘関節の伸展の動作を行います。

スイスマルチグリップバーでは、写真の通り一番内側にあるハの字型のグリップを握ります。*ハの字か逆ハの字かで効き方が変わるので、注意してください。

ライイングトライセプスエクステンション

グリップはハの字の中央をしっかり握り、手首は真っ直ぐの状態をキープしながら行う事が理想です。

肩の前辺りにバーが来る位置がスタートポジションとなります。

そこから、肘の位置が前後しない様に固定しつつバーの縁がおでこのやや上辺りに触れる所まで降ろし、元の位置まで押し返します。押し返す時に肘の位置がお腹側へ動いてしまう方がとても多いですが、そうすると効果が低くなりますのでぜひ丁寧に意識をしてみてください。

スイスマルチグリップバーは、ダンベルやEZバーと違いグリップがハの字に固定されているので、握るだけで過度に肘が開いた状態や閉じた状態になる事を防ぎます。

また、EZバーなどでは前腕や手首の回内(内側に捻る事)が強くなる事で肘の位置が安定しなかったり、柔軟性にも左右されますが、手首、肘、肩に負担が大きく、痛みや違和感を抱えながらトレーニングを行っている方も多くいらっしゃいます。

ダンベルの場合は、可動性や操作性は高い反面、フォームの再現性や高重量での不安定性や怪我のリスクがデメリットとして挙げられます。

その点、スイスマルチグリップバーは前腕や手首を回内する必要が無いので関節に過度な負担をかけず、上腕三頭筋外側頭にスムーズに収縮をかける事が可能ですし、意識もし易くなります。重量もバーベルなのでダンベルと比べて動作が安定し、しっかりと高重量までトレーニングする事が可能となり、それらを含めて大変おすすめです。

④ライイングトライセプスエクステンション(上腕三頭筋*長頭狙い)

ライイングトライセプスエクステンション

上腕三頭筋長頭は二の腕の内側になります。「振袖」と言われる様に、女性が一番引き締めたい部位に当たる筋肉です。

上腕三頭筋長頭は、三頭筋で唯一肩甲骨にも付着している筋肉です。故に、肘の屈曲伸展動作だけでなく、上腕骨の角度も重要になります。

上の写真の様にやや万歳をした状態がスタートポジションになります。

初めのうちは概ね45度前後になる位置から行い、慣れてきたらより頭の方へ腕を倒した位置からスタート出来ると効果的になります。

グリップは真ん中のナチュラルグリップが基本で、肘を開かない様にする事が重要になります。

ライイングトライセプスエクステンション

スタート位置から肘の位置を変えずに、肘を中心にして長頭にストレッチを感じながらゆっくりとバーが頭のやや後ろに来る所(肘関節90度前後)まで降ろし、元の位置まで押し返します。

この時、肘が開いたり肘の位置がお腹側へ動かない様に注意しましょう。

この種目も外側頭同様に、スイスマルチグリップバーで行う事で手首や肘の負担を軽減出来ますし、EZバーなどと比べて前腕と手首の回内が無いので肘が開きにくくとても長頭に刺激が入り易いです。

長頭は普段なかなか使われていない方が多く、トレーニングで効かせる事も外側頭に比べてとても難しいので、スイスマルチグリップバーを使用してスムーズに効かせる事が出来る点は男女共にとても大きなメリットになると思っています。

*セーフティスクワットバー、スイスマルチグリップバー、ヘックスバーなどのスペシャリティバーは、スリーブの直径が1.9インチと通常のオリンピックバーと比べて若干細くなっているため、クリップ式の50mm用のカラーでは固定できません。こちらのストロングマンカラーもしくは市販のねじ式カラーを購入することをお勧めします。

まとめ

いかがだったでしょうか?

まだ日本ではなかなか見る事の無いスイスマルチグリップバーは、ご紹介した以外にもとても多くの種目を効果的に行える非常に優秀なバーになります。

通われているジムに置いてあるけど使い方が分からなかった方は、ぜひご紹介した種目を行ってみてください。

また、パーソナルジムやホームジムなどの限られた器具やスペースで多種多様な種目を行い、楽しみながら長く効果を出していきたいという方へは特におすすめの製品です。 

今回の記事が皆様のトレーニングのお役に立てていれば幸いです。

次回もおすすめの種目や効果的な使い方についてご紹介をさせて頂きますので、そちらもぜひお読み頂けますと幸いです。

最後までお読み頂きましてありがとうございました。

お知らせ

MasterMindではパワーリフティング競技に興味がある方や、BIG3の使用重量を伸ばして行きたい方、身体のコンディションを向上させたい方のご体験ご入会、施設利用をお待ちしております。ビジターパーソナルトレーニングも可能です。アメリカンバーベル製品もお試し頂けます。

お問合せは下記のHPよりお願い致します。

Training-studio“Master Mind”:https://mastermind85.com

この記事を書いた人

栗原 弘教

Training-studio「Master Mind」の代表。SBDコラムニスト。Americanbarbell公式アンバサダー。現在パーソナルトレーナーでありながら現役パワーリフターとしても活動(公式ベスト記録 SQ280kg BP170kg DL260kg Total710kg /茨城国体4位) 一般のクライアントから、モデル、女優、医師、野球選手、自転車選手、格闘技選手等の各業界の専門家やトップアスリートまで幅広いクライアントへコンディショニングとストレングストレーニングを指導する。

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